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毒ムシになってしまった!!!「変身」カフカ

「ある朝、グレゴール・ザムザがなにか気がかりな夢から目を覚ますと、自分が寝床の中で一匹の巨大な虫に変わっているのを発見した…。」とショッキングな出だしではじまるのが「変身」という小説だ。

毒虫となったザムザに父母はおどろき慌てふためくばかり…。

妹はかろうじて当初はザムザに餌をやったり掃除をしたりしてくれていたが、やはり毒虫となったザムザとは全くコミュニュケーションが取れず次第に疎遠になっていく…という何とも救いのない話なのだ。

自分が毒虫になってしまったのなら、どうやって元にもどれるかを真っ先に考えるべきなのに、朝5時の電車に乗らないと今朝の出勤時間に間に合わないとか、主人公はそんなことばかり気にしている。

人間とは目の前に起こっている深刻な事態に気づけないのか、毒虫になったことへのショックから目をそらしたくて出勤時間のことばかり気にするのか…。

読者からすると少し滑稽な感じもする。

実際にカフカ自身は笑いながら時には吹き出すほどになって「変身」を朗読したという。

もし悲喜劇として解釈するのなら落語調の方がニュアンスが伝わるのかもしれない。

「なんかねぇ〜、今朝は、どうも夢見が悪いなあって思って目が覚めたんですがね…

胴体が亀の甲羅せおったみたいになってましてね…なんとか起きあがろうとするんですが…

何度やってもゴロンゴロンとするばっかりなんですよ…」

起き上がりこぼしみたいになってしまう毒虫の哀れで滑稽な姿が浮かび上がってこないだろうか?

この作品の出版は1915年。

第一次世界大戦がヨーロッパに暗い影を落としているさなかであり、産業革命によって人々の生活も大きく様変わりしてきた時代だ。

主人公のザムザは外交販売員をしているという設定。

朝5時の汽車に乗り出勤しなければならない。遠くへ出張もある。

親の謝金の返済のために社長に怒鳴られながらも働いている…。

何と現代社会のわれわれの「労働」と似ていることか…。

主人公の「労働」への意欲は家族への愛情に支えられてはいるものの、彼が毒虫になってしまったとたんに家族は同情すら示そうともしなくなる。

これは物質や金銭のみで築かれた関係性のあやうさを物語っているのではないだろうか?

くしくも同時代を生きたサン=テグジュペリは「物質的な富のためだけに働くとき、わたしたちは、みずからおのれの牢獄を築くことになる」と語っている。

毒ムシになってしまったということは、人間としなにか大切なものを失ったという意味なのかもしれない…。

参考文献 「変身」カフカ 新潮文庫

「人間の大地」サン=テグジュペリ みすず書房

この記事を書いた人

あぐり

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