原宿の占い館【ほしよみ堂】紫微斗数、占星術、タロット、易、四柱推命など

「コンサートに行ったら変われるような気がするんですぅ…」とある女性が話した。

何がどう変わるのかわからないが、推測するに「今まで母親が毒親で家庭環境も悪くて、勤めたところはブラック企業で、パワハラばかり受けていた」状態から「良いパートナーと巡り合って幸せな結婚をして、良い仕事について幸せになれる」というふうに変われる、という気がしている、ということなのだろう。

誰かが何かをもたらしてくれることによって、自分は幸せになれるという信仰心がそんなに容易く変わるとは考えられないが、世の中には奇跡ということもある。確かに奇跡を信じる自由は日本では保障されている。ひとまず、日本に生まれたことに感謝しよう。

「神社に参拝したら運が良くなる。」「素敵な人と出会ったら幸せになれる。」「良い大学に入ったら幸せになれる。」

巷にはいろいろな機会やチャンスがある。自分から外に出かけて行ってご縁を繋ぐのも良いだろう。自分が大きく成長するきっかけとなるかも知れないから。

しかし、常に良いことは外部から与えられるだけなのか？

「このセミナーに参加したら今までのあなたではありません」

「この本を読めば人生観が変わります」

まあ、嘘ではないのだろうけれども、こんな謳い文句ばかり目にしていると、

自分の内面の変化は外からもたらされる以外にないと思い込んでしまう。

セミナーや本を売りたい側からすれば、良いものを勧めているし、良いものが売れて儲かって客も喜んで購入してくれるなら万々歳だ。次の商品も買ってくれるだろう。このようにして現代社会は循環しているのかも知れない。

だが、それを繰り返すだけでは、自分自身が自分を育てていくという力が身につかない。

何故なら、「変化は常に外部からもたらされるもの」という思い込みが意識の根底に刻まれて

しまっているからだ。

おそらく彼女は「コンサートに行って変わったんですぅ〜」と語るだろう。

美しい音楽に感激はするだろう。高揚感は自分が別人になったかのような感覚になることもある。

だがそれは、外的にもたらされなくても、特別なコンサートに行ったりしなくても自らの力でつくり上げることが可能なのだ。

おそらくそれに気づくことなく、彼女はコンサートに通い続け、自分は成長し続けるという夢に浸り続けるのかも知れない。

なんと彼女に声を掛ければいいのかとぼんやり空を見上げてみた。