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ドイツ科学界を救った日本人

月刊致知の「語り継ぎたい日本人の物語」のご紹介です。(前編)

ドイツ科学界を救った日本人

「ショート・ショート」と呼ばれる掌編小説のジャンルを確立した作家:星新一(ほし しんいち)に、父星一(ほし はじめ)の半生を描いた「明治・父・アメリカ」という異色の伝記があります。

星一は若き日にアメリカを渡し、苦学してコロンビア大学を卒業、帰国して製薬会社や薬科大学を創設した一代の事業家です。


彼の事業の発展の転機となったのはモルヒネの製造でした。
 

当時(明治38年頃)、欧米からの輸入に頼らざるを得なかったモルヒネの需要の激増時期、
 

政府の専売品だったモルヒネの原料であるアヘンを合法な形で入手することに成功し、国内初のモルヒネ製造は軌道に乗り、飛躍的な発展を遂げました。
 

しかしその成功を羨む政治家や官僚たちに足を引っ張られ、陰謀により密輸容疑を捏造され、有罪判決を受けます(後の控訴により無罪となる)
 

そのことで事業は壊滅的打撃を受け、一時は破産宣告にまで追い込まれ、親戚宅に身を寄せることもありました。

こうした窮地に陥る直前の大正八年に星一は知人から、ドイツの科学界の窮地を聞きます。
 

第一次世界大戦終結後、敗戦国ドイツは過酷な条件でヴェルサイユ条約の講和条約を呑まざるを得ない状況下、世界に冠たるドイツ科学界も悪性インフレの直撃を被り、壊滅状況に陥っているとのことでした。

 

星は自ら援助したいと申し出て、二百万マルク(当時の邦貨で八万円)の破格の支援金をドイツ政府に送ります。

そしてさらなる支援の必要性を感じ、二回目として四千万マルク、さらにインフレに影響されない邦貨で毎月二千円以上を三年に渡り寄付するのです。
 

推定時価六億円ものお金に上る追加支援でした。

この援助を称え、エーベル大統領を始め、多くの著名人・会社社長が組織する会より、多くの章や市民権・記念品等が送られ、ドイツ政府より招待を受けました。
 

それは国賓に準ずる待遇だったそうです。

さらにドイツ産業界から送られたドイツ塗料の日本販売権一切を星に提供するという莫大な利益をもたらす誘いを星は次のように言って断ってしまいます。

「ありがたいことですが、それはいただくわけにはまいりません。
 

 自分が好意でおこなった寄付が、反対給付を期待してのものだったことになってしまいます。
 

 その権利は、必要としている人に公平に配分してください」

これを聞いた仲介人である友人は

「先方はくれるというのであるし、もらっておいても損はないのではないか?
 

 ・・・きみが同業者や官庁からつまらぬことでいじめられているのを知っている。
 

 そのための力強い援軍になるのではないか」と忠告したところ、

「同業者や官庁と争うのに、外国の後ろ盾でそれをやっては筋が通りません」と星が述べたといいます。
 

 言うまでもなく、日本人として恥ずかしいという意味です。

星に欲がなかったわけではないのでしょう。
 

判断や選択を迫られたとき、公の立場から見てどうなのか、如何に振舞うべきなのかという
 

「内なる規律」に従うのが常であり、その声に従ったまでであり、星という男はそういう男だったと。(続く)


 

 

 

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