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霜月~神無月(6)


神無月~霜月(1)

神無月~霜月(2)

神無月~霜月(3)

神無月~霜月(4)

神無月~霜月(5)

 

の続き。

 

 

本家の嫁として嫁いできた祖母は

若い頃から農業に勤しみながら

富山の薬売りとして全国を行商する祖父の留守を守ってきた。


とかく亭主が留守の家を軽視する風潮の土地で

その負けず嫌いの気質をもって

ほぼ一人で農業に労使し、

並み以上の人づきあいもこなしてきた。


齢六十を前にして、

くも膜下出血を患ったが、

運よく順調な回復を見せ

目立った後遺症もなく日常生活に復帰した。


その後、長年勤しんできた農業も縮小し

徐々に体に負担のかからない生活に切り替えていった。

70歳にして脳血栓を発症し、

人生で2度目となる生死の境をさまよったが、

無事生還し親族をほっとさせた。


その頃からであろうか。

いわゆる“ボケ”の気配が現れだしたのは。

会話の節々にその傾向があらわれだした症状は

数年の月日とともにゆっくりと

しかし確実に進行していった。

 

モノを隠す

50数年も前のことを今のことのように話す

同じ質問を同じ人物に何度もする

 

これら祖母が取りはじめた行動は、

聞けば典型的な認知症の傾向らしい。


それでも間近でその問題に直面した、

僕たち親族からしてみると、

その現実をなかなか認めることが出来ないものである。


そうした祖母の行動は

一見不可解な行動に思えるのだが、

寝食をともにし

毎日のように会話を繰り返していくと、

ある結論にたどりつく。


モノを隠すのは、祖母が嫁いで来て間もない当時、

嫁に対して厳しい態度で臨んだ時代だったこともあり、

満足に食事を与えてもらえず、

姑の目を盗んで、

どこぞやに隠しておいて後になってからでも食べなければ

とてもじゃないが農業という力仕事を

十分にはこなしてはいけなかった経験からであろう。


いまや認知症となってしまった祖母にとって、

“隠す”行動は故意というよりも

生きていくために若き日に身に付けた方法であり、

もはや無意識のうちの癖であるように思える。


そして何よりも祖母の根底にあるのは、

 

亭主の留守を立派に守ってきたという誇り

農家にして薬売りという商売で稼いだ亭主への誇り

 

なのであり、

それが今では満足に出来なくなったという

かつての自分に対する強烈な劣等感が

現在の祖母を責めたてている。


そしてもう一方の誇りである亭主もすでにいない。

しかし亭主が他界したことが理解できない。

理解できないというよりも、

認めたくないのかもしれない。

自分の“今”を否定しないために。


かつての誇りが今の自身を支え、

それが“かつて”であったことに

おぼろげではあるが気付き、

それに対して劣等感を感じ、

心の支柱を守るべく現実を否定する、

か弱く迷い多き姿が今ここにある。


揺らぐ柱を心に抱え、体力も落ちてきている。

本来ならば何時、他界してもおかしくはない。

 

しかし、そんな祖母の精神を

この現実世界につなぎとめているものがある。

アンチャン(息子)である。


祖母にとって知的障害をもつ息子は手のかかる子供だった。

しかしそれゆえ自分なしでは生きていけない

いとおしい存在でもあった。


この子がいる間は・・・

 

もはやか細くなり、今にも折れそうな祖母を唯一支えているのだろう。


83歳の母の57歳の息子に対する一念がである。

 

次回に続きます。

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