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合わせられる自分が、少し怖かった

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第4章 第5話

合わせられる自分が、少し怖かった

違和感は、
はっきりした形ではやってきません。

言葉にできない。
理由も説明できない。
それでも、確かに残る。

あの頃の私は、
その違和感を
「気のせい」にしようとしていました。

相手は、真面目な人でした。
誠実で、きちんとしていて、
周囲からの評価も悪くない。

けれど内心では、
「この人、大丈夫かしら……」
そんな小さな不安を感じていたのです。

冗談が好きで、
少し力が抜けた会話が好きな私にとって、
どこか空気が合わない感覚。

それでも私は、
早く婚活に終止符を打ちたいと思っていました。

もう迷いたくない。
もう悩み続けたくない。

だから、
自分を合わせればいいのだと、
どこかで思っていたのだと思います。

ラインのやり取りも、
今振り返ると分かります。

理由は説明できないけれど、
生理的に受け付けないと
心のどこかでは分かっているのに、
無理をして返信している自分。

返事を打つ前に、
一呼吸置いてしまう。
小さくため息をついてから、
送信ボタンを押す。

それでも、
「これくらいで引っかかるなんて」
「私が神経質なだけかもしれない」
そうやって、
自分の感覚のほうを疑っていました。

今の私が、
占い師という立場から
あの頃の婚活を見たとしたら、
こう例えると思います。

あのときの私は、
相手を見誤っていたのではありません。

自分の感覚が、
どこで立ち止まっているのか

それを、ちゃんと感じ取っていた状態だったのだと。

心理的にも、人が迷っているときほど
問題は「相性」ではなく、
心と体の向きにあります。

頭では進もうとしているのに、
感覚のほうが
「まだ違う」と
静かにブレーキをかけている。

それは、
直感が鈍い状態ではありません。

むしろ、
直感がきちんと働いているのに、
それを採用できない状態です。

年齢。
条件。
期限。

そうした現実的な要素が、
自分の感覚の声を
上書きしてしまう。

だから、
本当はしんどいと分かっているやり取りにも、
自分を説得しながら応じてしまう。

それは優柔不断なのではなく、
自分を守る感覚を、
後回しにしていただけ
なのです。

今、相談に来てくれる方の中にも、
同じ場所で立ち止まっている方がいます。

「嫌いじゃないんです」
「いい人なんです」

そう言いながら、
どこかで息を止めている。

占い師の視点で見るなら、
その違和感は
切り捨てるものでも、
正解を決める材料でもありません。

ただ、
今の自分の状態を教えてくれるサイン
それだけです。

あの頃の私は、
そのサインを
無視しようとしていました。

合わせられる自分でいることが、
正しい選択だと
思い込もうとしていたのです。

でも今なら、
はっきり分かります。

あの違和感は、
間違いではなかった。

そして、
合わせられる自分が
少し怖かったのは、
自分の感覚を
ちゃんと分かっていたからでした。

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最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

この記事を書いた人

唯真 伊由

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