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帰国──慣れた頃に終わるということ

こんばんは、美月マーシャです。

すっかり現地の生活に慣れた頃、

私たちの海外生活は終わりを迎えました。



前回の内容はこちらから…。

三年間。

長いようで、振り返るとあっという間だった時間。



言葉にも文化にも少しずつ馴染み、

その国で外国人として生活することを

共有できる友人がたくさんできていました。



ようやく「ここで生きている」と

感じられるようになった頃に、

帰国の時期がやってきたのです。



慣れた頃に終わる。

人生には、そういう区切りがときどき訪れます。



日本に戻ることが決まったとき、

嬉しさよりも先にあったのは、

うまく言葉にできない寂しさでした。



聞き慣れた街の音、

歩きなれた道、

日常になっていた風景。

空港の電光掲示板をふと眺めて、



「もうここには戻らないんだな」

そう思った瞬間、

胸の奥がきゅっと締めつけられ

涙が出てきました。



日本に帰国してからの私は、

どこか地に足のついていない、

宙に浮いたような気持ちで過ごしていました。



懐かしいはずの日本。

自分の国のはずなのに、

「戻ってきた」という実感が

すぐには湧かなかったのです。



街の声は日本語なのに、

自分だけが少し遅れて反応しているような感覚。

3年間の間に、

街並みやシステムも移り変わっていて

周囲は前に進んでいるのに、

私だけが立ち止まっているようにも感じました。



「海外で築いた生活は確かに終わった。」

「もう気持ちを切り替えないと。」

そう頭では分かっていても、

次に何が始まるのかは、まだ見えていなかった。



肩書きも、目標も、

「これをやっています」と言えるものも、

その時の私にはなくて、

毎日を、淡々と過ごしていました。



荷解きをして、

足りないものを買い足して、

久しぶりに日本のスーパーを歩く。

家族の食事を作り、

洗濯物を干し、

今日一日を無事に終える。




終わりと始まりのあいだに、

ぽつんと立たされているような感覚。



「これから、どう生きていくんだろう」

そんな問いが、はっきりした言葉になることはなく、

ただ静かに胸の奥に沈んでいました。



当時の私は、

この先の道が見えないことに、

特に焦っていたわけでも、

深く落ち込んでいたわけでもありません。



ただ、

まだ名前のついていない

ぽっかりとした「空白」を抱えていた。

それだけだったように思います。




まさかこの先、

あの頃そっと取っておいたものが、

再び私を導くことになるなんて。



このときの私は、

まだまだ知る由もありませんでした。



つづく…。



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美月マーシャ

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この記事を書いた人

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