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神無月~霜月(15) 滲夕

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神無月~霜月(12)

神無月〜霜月(13)

神無月~霜月(14)

 

の続き。

 

 

 

その日もいつも通り、

前日に頼まれていた果物をタッパーに詰め、

運が悪ければ自分が載るところだった、

“おくやみ欄” を集中治療室のベッドの上で

チェックする異様な格好の母に届けた。

 

この頃、母は夜になると出る熱に苦しんでいた。

担当医によると、

これは血管が攣縮(縮むこと)を起こしているために出る症状で、

この時期には脳梗塞の危険性もあるという。

縮んだ血管に血液が詰まりやすくなるためであろう。

もちろん血液凝固防止薬も投与しているのだが、

発症後、1週間から2週間でほとんどの患者に必ず出てくる症状で、

確実な予防は難しいらしい。

 

そんな症状を抱え、夜熱が出るたびに不安に狩られていた

医師からのくわしい症状の説明を受けていない母は、

具合が悪くなると、

実は回復になど向かっていないんじゃないか、

本当は危険な状態にあるのではないか

という幻想に狩られるのだ。

 

前日の夜もそうだったらしい。

高熱にうなされ、


「もうだめかもしれない・・・」

 

そう思った母は、ある決意をした。

 

ちょっと見てほしいものがある。

そういって

母は僕に一枚の紙を渡してきた。

 

「いままでありがとう。」

「本当に幸せでした。」

 

【遺書】であった。

 

涙をこらえきれなかった。

 

職業がらこれまで、

幾多の運命学、神秘学、宗教書に触れてきた。

当然それらの中には、

人の死に対する考え方、そこにある意味、法則性などが

様々な視点から書いてあるものもあった。

理解したつもりだった。

いくつかの理論を実践すらしてきた。

まさに人の瀬戸際において、

自分が取り乱すことなど有り得まいと思っていた。


おごりだった。


“ 渦中 ” という名のウズの勢いは強烈だった。

瞬間、これまで占い師として学んできた

運命学や神秘学などの考え方、知識などは跡形もなくなっていた。

そこにあったのは、

たった2行の文章に丸裸にされた、

息子としての哀情のみであった。

 


駐車場に戻り、車にのりこんでなお涙が溢れてきた。

 

夕日がにじみいつも以上に赤くまぶしく感じられた。

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【 お知らせ 】


長い間休止しておりました、

ほしよみ堂での

対面鑑定とレッスンを

2月2日より、再開しております。


ご予約、お問い合わせは

渋谷ほしよみ堂 までお願いいたします。 

 

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