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神無月~霜月(9)

神無月~霜月(1)

神無月~霜月(2)

神無月~霜月(3)

神無月~霜月(4)

神無月~霜月(5)

神無月~霜月(6)

神無月~霜月(7) 

神無月~霜月(8)

 

の続き。

 

 


手術が始まってから6時間が経とうとしていた。

はじめは言葉を掛け合い、

気遣いから他愛もない話題をひねり出していた

十人の親類たちもさすがに疲弊してきている。


一見ひとりきりで待つよりは大勢いてくれた方が気がまぎれる、

ような気もするが、

まあ人にもよるだろうが、

本当は、実のところは、

多くても2,3人で充分である。

10人は多すぎる。


日常的な付き合いがない分、余計に気を使う。

まあそれでも、母や僕への気遣いから

こうしてきてくれているのだから、

むしろ有難いことであり、

そんなことはいえないのだけれども・・・


いわゆる手術待ちに僕は慣れてはいた。

ここ10年、友人が若くして膠原病をわずらい手術を繰り返している。

成功生存率20%といわれる手術にも何回か立ち会った。


わかったことといえば、

心配しても使用がない。

なるようにしかならない。

あれやこれやと思いをめぐらせてみても、

意味もなく疲弊するだけである。


疲弊して、手術の成功率があがるのであれば、

いくらでも余計な思いもめぐらし、

疲労困憊してもかまわないのであるが、

こちらの疲弊率なんてものは、

手術の成功率には一向に関係ないのだから、

まったくもって夏炉冬扇な蛇の足なのである。

 

ただ祈るのみ。

 

これは唯一、無駄ではない気がする。


自分とて一介の占い師である。

運命学の基本は学んだつもりである。

これはあくまで持論であるが、

避凶(凶を避ける)なんて無いのであり、

要はなるようにしかならないわけである。


やや仏教義的になるが、

“ あきらめ ” が肝心なのである。

あきらめとは “ 諦め ” とも書くが、

古語では “ 明らめ ” と書く。

事物を超客観的に観察し、認識し、対処することであり、

つまりはあるがままに観るということである。


人の生死に執着することは、

長い目でみると実に意味をなさないこと、

一時の喜びが、やがては数倍の悲しみと苦痛によってかえってくることを

教義としては知っていた。

 


今回もそうなのかもしれない。

因縁なのかもしれない。


この手術が成功すればそれでよし。

甲斐なく母が天寿をまっとうすることになっても

それはそれでよし。

生命である以上、死は平等に訪れるのであり、

その差は時期の早遅だけなのだから・・・

 


無言の多勢にかこまれながら、

僕は自分にそう言い聞かせていた。

 


「今終わりました!、ご家族の方、こちらへどうぞ。」

看護師の声が静寂を破った。


患者搬送用エレベーターの前に一斉に移動した。

二十数分も待っただろうか

ようやく母がエレベーターから運び出されてきた。


搬送用ベッドに横たわる母の頭部は

包帯ともガーゼともつかぬ物体で厚く包まれ、

頭頂部付近から2本のチューブがでている。

ベッド脇からは点滴のためであろう管が伸び

口には酸素マスクが装着され、

表情はわからない。

麻酔のため、当然意識もない。


エレベーター左にあるSCU(脳卒中集中ケアユニット)に

運び込まれていく母の、

得体も知れぬ白い物体に包み込まれ、

それでもかろうじて生きているであろう母の姿をみていると、

目頭に熱いものがこみ上げてくるのを感じた。


しばらくして僕とYと祖父の実弟のHの三人が

集中治療室横の個室に呼ばれた。


今長時間の手術を終えたばかりの

担当医からの説明である。

 

 

次回に続きます。


 

 

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只今、家庭の事情により富山へ帰省中のため、

ほしよみ堂、およびかぎねこ亭での対面鑑定はお受けすることができません。

電話占いヴェルニでの電話鑑定、メール鑑定のみ承ります。

 

対面鑑定は富山でのみお受けしております。

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コメント(2)

匿名 (2012年1月13日 04:27)

以前一年半ほど前に、貴殿の鑑定を受けたものです。じつは、全く別のことを検索していてこちらのホームページにたどり着き、お名前に見覚えがあったので、こちらを拝見した次第です。鑑定の際は有り難うございました。大幅に時間をすぎても、ご鑑定を続けていただいたことや、2012年が私にとって良い年になるといったことをおっしゃっていただいたのを良く覚えております。ブログを拝見し、正直おどろくとともに胸に詰まりました。まったく無関係な者ではありますが、お母様の無事を、インターネットの匿名としてではありますが、心よりお祈りしております。コメントに投稿せずとも、こちらのブログを見たひと、皆がそうねがっている筈です。現在の貴殿のおつらい状況、いたいほどに伝わってまいりました。お母様がどうかどうか、良くなられますことをお祈りしております。(メールアドレス記入必須とのことで、架空のアドレスを入力させていただきました。)

某 件太郎 (2012年1月21日 18:16)

匿名様、
あたたかいお言葉をいただき、
ありがとうございます。

そういっていただけると、
励みになります。
今回のことをあえてブログに書き留めてよかったと
思うことができます。

この現状を僕は自身に課せられた試練であり、
使命だと思っています。
これを乗り越えることが僕自身が成長するために必要なのだと。

匿名様もどうかお風邪など召されませぬよう、
ご自愛ください。

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